AIとの対話は、ブラウザのチャット画面で行うのが一般的である。
しかし、毎日のように同じ指示を繰り返し入力したり、大量のファイルを一つずつコピー&ペーストしたりする作業もまた大変だ。
一方、本サイトでたびたび話題にしているとおり、現代では Claude Code や Codex、Antigravity、Cursor といった次世代のAIツールも登場している。


これらのツールを使えば、複数のファイルを参照しながら修正まで自動で行ってくれるので、従来のコピペ作業等がなくなる。今やこれらのツールなしでは仕事ができないほど依存している。
しかし、いくらツールが優秀でも、「ちょっとした誤字を直したい」「フォルダ内の複数ファイルに同じ処理を行いたい」といった日常の細かな作業のたびに、いちいち対話型の画面を立ち上げて指示を送るのは、地味に手間に感じられることもある。
この「ちょっとした作業」に潜むマンネリと非効率を解決する一つの方法が、Claude Code をターミナルから直接実行する claude -p コマンドの活用である。
本記事では、claude -p コマンドの使い方について、以下に用意したフォルダを用いて具体的に紹介する。まだ使ったことがない方は、以下フォルダをダウンロードして実際に手を動かしてみてほしい。
また、利用するには Claude Code のインストールが必要なので、使える状態にしておくこと。
具体的な手段:ターミナルから一瞬でClaudeを呼び出す
Claude Code は、Anthropic社が提供する公式のコマンドラインツールである。
その中でも、特に自動化に力を発揮するのが -p(–prompt)オプション である。
このオプションを使うと、対話型のチャット画面を立ち上げることなく、実行したい指示をワンラインでClaudeに送り、結果だけをターミナルに出力させることができる。
1. 準備と環境確認
まずは使用している環境が整っているか確認する。
Windows環境では、日本語の文字化けや意図しないエラーを避けるため、標準のPowerShellではなく PowerShell 7 を使用することを強く推奨する。
ターミナルで以下のコマンドを実行し、バージョンを確認する。
$PSVersionTable.PSVersionMajor の値が 7 以上であれば準備は完了である。続いて、Claude Code がインストールされているかを確認する。
claude --versionバージョン番号が返ってくれば、いつでも実行できる状態である。
以降で実際に claude -p コマンドを試していくので、以下の練習用ファイル一式をまだダウンロードしていない方は、ぜひダウンロードして自分のCLIなどで試してほしい。
2. 基本的な質問と回答の保存
もっともシンプルな使い方は、ターミナル上で直接質問を投げかける方法である。
claude -p "このフォルダにある練習用ファイルを初心者向けに説明して"このコマンドを実行すると、Claudeが該当フォルダの内容を確認し、ターミナル上に直接回答を表示して終了する。
さらに、この回答を手元のファイルに保存したい場合は、リダイレクト記号の > を使用する。
claude -p "議事録.txtを読み、誤字脱字と表記ゆれを直してください。事実、名前、日時、決定事項は変更せず、修正後の議事録だけを出力してください。説明や修正点の一覧は付けないでください。" > 議事録_修正.txtこのコマンドを実行すると、Claudeの修正結果が画面に表示されることなく、直接 議事録_修正.txt という新しいファイルに書き込まれる。
Windows環境で自動化を行う際、文字化けを防ぐために Out-File や Set-Content といったPowerShell固有のコマンドを使わず、単純な > を使用するのが重要なポイントである。
応用例:複数ファイルの一括処理
さらに強力な自動化の例として、フォルダ内にある複数のファイルをまとめて処理する方法がある。
例えば、アンケートフォルダ内に保存された5件の回答データを読み込み、自動で満足・不満に分類させて結果を一つのファイルに集計する場合を考える。
claude -p "アンケートフォルダ内のすべてのtxtファイルを読み、各感想を『満足』か『不満』に分類してください。ファイル名:満足:理由、またはファイル名:不満:理由の形式で、1ファイルにつき1行、理由は20字以内で出力してください。説明や見出しは付けないでください。" > 集計結果.txtこの処理を実行すると、人間が1ファイルずつ開いて確認していた作業が、わずか数秒で「集計結果.txt」にまとめられる。
得られるもの(Insight):対話すら不要にする、AIの「コマンド化」
claude -p を使うようになって得られた最大のメリットは、AIを「対話相手」としてではなく、grep や sed のような 「UNIXコマンド」の一つとして扱える点 にある。
対話型のAIツールは強力だが、決まった処理をループしたい場合(たとえば、複数のファイルに対して同じ操作を繰り返し行う場合)などでは、この「対話のステップ」さえも鬱陶しくなってくる。日常的にIDEのターミナルで操作している筆者にとって、このわずかな往復すら地味なノイズになっていた。
そこで真価を発揮するのが、本記事で紹介した claude -p である。
筆者の場合、現在公開中のIT用語辞典の記事やWebデザインの解説ページなどを頻繁にリライトする際、何百枚もあるMarkdownファイルに対して、いちいち対話型AIを立ち上げて1ファイルずつ指示を送るのは非効率極まりない。
しかし、-p オプションを使えば、シェルのループ処理と組み合わせて「複数のファイルすべてに、同じリライト用プロンプトを一括適用し、それぞれ上書き保存する」といった自動化が一瞬で可能になる。
もちろん、Claude の出力結果は必ず人間の目で検証する必要がある。名前や日時、数値などの重要データが勝手に書き換わっていないか確認する工程は省略できない。また、大量のファイルを一度に処理する際は、利用料金や処理時間が増える点にも注意が必要だ。
しかし、このワンラインのコマンドがもたらす「手軽さ」と「スピード」は、日々のルーティンワークを劇的に変える力を持っている。ぜひ手元の環境に導入し、その快適さを体験してほしい。
