入浴中にふと、現在の生活と学生時代を比較し、ある違和感を覚えた。
なんとなく、昔より頑張っている今(30代以降)より、頑張っていなかった昔(10代後半~20代)の方が、充実感を得られていた気がする。これは何故だろう?
筆者は4年半ほど前に転職をした。それまで商社やメーカーの営業マンとして10年近く働いてきたが、今は営業ではなく、プログラミングをしたりちょっとしたデザインをしたり、印刷機を動かしてオリジナルグッズを制作したり。働く業界も住む場所もガラリと変わった。客観的に見れば、激動のキャリアチェンジである。
4年半という期間は、大学入学から卒業を経て、さらに社会人としての一歩を踏み出しているほどの期間に相当する。しかし、この4年半という歳月を振り返ったとき、不思議と「何かを成し遂げた」という確かな手応えや、胸を張れるような実績が、今の自分には欠けているように感じられる。
生産性は3倍なのに、感動は3分の1に
当時の生活を改めて思い返すと、今のように生産性を考えた過ごし方はしていなかった。大学の授業に出席し、適度にアルバイトをこなしてはいたものの、それ以外の時間は友人との飲み会やカラオケ、自宅でのテレビ視聴やゲームといった、娯楽に費やす時間が圧倒的に長かった。
一方現在は、朝9時から夜20時頃まで仕事に没頭し、帰宅後はジムへ直行。お風呂ではKindleで読書をし、寝る前にはUdemyで新しいスキルを学んだり、ブログを書いたり。自分で言うのもなんだが、意識の高い活動をしている。
それなのに、なぜ満足感が反比例しているのだろう。
自分ではそれなりに(少なくとも20代の頃よりは)頑張っているつもりなのだが・・・なんだか心が乾いていくような、焦りに似た感覚が常にある。
あの頃の「初めて」は、全てが新鮮だった
お風呂上がりに少し考えてみて、ひとつの仮説に行き着いた。
「体験の新鮮度」が枯渇しているのだ。
10代、20代の頃は、とにかく「初めて」のことが立て続けに起こっていた。
初めての一人暮らし、初めての飲み会、初めての旅行、初めてのプレゼン、初めての仕事。
PCスキルひとつ覚えるのだってそうだ。
「Excelの関数が動いた!」
「パワポのアニメーションが動いた!」
今思えば全然大したことはない。
ただそれだけのことなのに、当時の自分は本気で感動していた気がする。
自分の中で、少しずつ、でも着実に、世界が広がっていくのが実感できた。
それに対して、今はどうだろう?
転職後の30代後半、PhotoshopやIllustratorなどのデザインツールや、JSやPHPなどのプログラミング言語を習得し、Webサイトの立ち上げや動画編集も行えるようになった。
当時の学びよりも、はるかに高度なことを習得しているのは間違いない。
しかし、それらは所詮「過去のスキルの延長線上」にあるように感じてしまう。
旅行だってそうだ。昔は隣県に行くだけで冒険だった。
それが今は「移動手段と宿の手配」というタスクの一部に成り下がっている気がするし、様々な風景や観光地も「どこか似たようなもの」という感じがして、少なくとも初めて旅行したときほどの感動はない。
経験を積んで自分の世界が広くなった分、感動のハードルが恐ろしく上がってしまっているのだ。
自由を手に入れた筆者が、無意識に選んでいた「ぬるま湯」
もうひとつ、認めたくないけれど認めざるを得ない仮説がある。
「自分で選べる自由」が、自分を弱くしているのかもしれない。
学生や新人の頃は、楽しい経験もあったが、ストレスを感じる経験もたくさんあった。
学校の課題や受験、会社や上司からの無茶振りなどは、基本的になんとかこなすしかない。
「やりたくないこと」「躊躇うこと」が、意識せずとも勝手に降ってきていた。
でも、その「強制的な負荷」のおかげで、嫌でも見たことのない景色を見せられていたのだと思う。それらを乗り越えることで強い達成感が得られ、今でも忘れられない成功体験に繋がっている。
ところが、今は違う。
独身で、フリーランス的な働き方をして。
ある程度のお金さえ稼げれば生活には困らないし、誰にも文句は言われない。
気の乗らない飲み会には行かなくていいし、興味のある勉強だけすればいい。
一見、ストイックに自己研鑽しているように見えて、実は「自分が傷つかない、疲弊しない、恥をかかない」安全圏の中だけで努力ごっこをしているだけなんじゃないか?
無意識のうちに、居心地のいい「ぬるま湯」を選び続けていることが、この得体の知れない虚無感の正体なのかもしれない。
だから今年は、「ちょっと躊躇うこと」をやってみる
正直、このままでもそれなりに楽しく生活は続けていけるだろう。
どんな人生を選んでも正解だと思う。
ただ、人というのは贅沢なもので、慣れた生活というのは飽きがくる。
なんだか・・・面白くない。つまらない。
かつでの充実感や感動を、また味わいたい。
かといって、自分が本当にやりたくないことに挑戦する勇気はないし、今の生活を思いっきり変える(海外に移住するとか)のもリスクが高くて非現実的だ。
そんな我儘な自分の現状を打破するアクションプラン。
ちょっと躊躇うことをやってみること。
「うわ、面倒くさそうだな」
「ちょっと怖いな」
「失敗したら恥ずかしいな」
興味はあるけど、なんかやりたくない。
そう感じて敬遠していた体験をすることで、今自分が欲している充実感が、少しは得られる気がする。
安定した日常のレールを、自分の手で少しだけ踏み外してみようか。
今年はそんな一年にしていきたいと思う。
- 旅行に行ったら、観光やグルメだけでなく「体験」を取り入れてみる。陶芸とかガラス細工とか。
- 普段の筋トレで、パーソナルトレーナーを付けてみる
- 昔の友人や同僚に連絡してみる
